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慢性骨髄性白血病の治療や、治療後の生活について徒然と書いています
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「さっちんは今ICUにいます。
 寝顔しか見られませんが、励ましにきてやって下さい。
 遠方の方は手紙を書いてやって下さい。」


大阪を出る直前、突然こんなメールがきました。
送り主は、さっちん…駒込病院時代の知り合いである
Nさんの旦那さんでした。
Nさんは急性骨髄性白血病と4年間闘っており
確か昨年移植したはずでした。
何度かメールも頂いていたんですが、
もう1年以上お会いしていませんでした。



ICUにいるとのことで、ただならぬ事態ということは容易に想像がつきます。
東京にいくのは3月31日。
だから4月1日にお見舞いに伺うことをお約束しました。



しかし昨日、
「突然ですが、病室にて簡単な結婚式を明日19時から行います。
 それまでもたないかもしれませんが」
というメールを頂きました。
もう気が気ではなくて、信じられませんでした。
最悪のエイプリルフールネタです。



そして今日、朝一で駆けつけるはずが寝坊してしまい
病院に着いたのは12:30すぎ。
新しくなった病棟の、ナースステーションに一番近い個室に
Nさんはいました。
そこには、私が見たこともないような
Nさんの姿があったのです。



体中からチューブが出ていて、
無理矢理呼吸させられているかのような、
不自然な体の動き。
人工呼吸器のせいでぶくぶくに膨れ上がった顔。
勿論、意識はありませんでした。
いわゆる「スパゲティ症候群」です。
身体からチューブがスパゲティのように出ているのです。
確かに生きている人間なのですが
尊厳とかいったものが、とても感じられるものではありませんでした。



病室には誰もおらず、私一人。
先生や看護師さんが入れ替わり立ち替わり、
様子を見にやってきます。
主治医らしき先生が、説明をしてくれました。
徐々に心拍数が下がっている状態で
もう心臓が微弱にしか動いておらず
時間の問題である、と。



確かにモニタ見てももう0と40くらいの間を
行ったり来たりしているだけで、
目で見てもその時が近づいているのが分かりました。
でもそんなの信じられなくて
ずっと、大丈夫だから、頑張って、頑張って
それしか言えませんでした。



---------------------------------



全く意識も何もなかったのだけれど、
「今日結婚式ですよね?がんばりましょうよ」
って話しかけてたら、
少しだけ目が開いて、
うんうんって頷いているようでした。
そして目を閉じた後、右目に涙がにじんでいたんです。
先生は鼻涙管が詰まっているせい、と言っていましたが
私はきっと、嬉しくて泣いていたんだと思うんです。
そして、しばらくして眼球運動がみられました。
夢を見ていたんでしょうね…
きっと、幸せな夢だったと信じたいです。



なぜ結婚式をするのかというと、
旦那さんがNさんの携帯を見ていて、
結婚式できなかったからやりたいと書いていたのを
見つけたそうなんです。
で、それを聞いた別の患者さんが、
それなら結婚式させてあげましょうよ、
って準備してくれていたそうです。



---------------------------------



13:20ごろ、モニタの反応がほとんど0になりました。
もう、心臓マッサージも何もしませんでした。
まだご主人はいらっしゃいません。
私一人で告知を受けるのはあまりに酷で
それはNさんにも旦那さんにも申し訳ないから
旦那さんの到着まで告知は待ってもらうことにしました。




13:30ごろ、旦那さんがやってきました。
そして瞳孔散大などを確認して、
13:31、眠るように天に召されました。



旦那さんは淡々と受け止め、
涙を流すことはありませんでした。
でも夫婦2人で話したいこともあるだろうから、
先生も看護師さんも私も、
みんな部屋を出ました。



---------------------------------



しばらくして談話スペースで旦那さんにごあいさつ。
他の方への連絡で忙しそうでした。
そして突然聞かれました。

「病理解剖をしたいと言われました。あなたならどうしますか?」

そうか…ここはきっと研究機関でもあるから
まだまだ謎の多い白血病ともなれば
やはり解剖でデータを得たいんでしょうね。



でもご遺族にとってみれば、
なくなったことだけでもう頭が爆発しそうなのに
そこに解剖のお願いとは…
仕方ないとはいえ、酷なことです。



私自身がそうなった場合、
これからの研究に生かしてほしいから
解剖はしてもらって構いません。
でも自分の身体じゃない身体のことは、
それとは全く異なるものなのです。



旦那さんご自身は賛成のようでしたが
決定打がなかったのか、
電話をかけていた方にも同じ質問をしていました。
そして考えた末、解剖に承諾されました。



---------------------------------



「なんでか、悲しくないんです。おかしいんですかね」
「笑っちゃうんですよ、おかしくて」

ご主人はそれを非常に気になさっているようでした。
でもご遺族の感情って本で読んだり、
自分自身の経験からいえば
必ずしも涙を流して悲しむ、というのが
100%ではない気がします。
あまりにつらくてこころがもたなくて、
悲しくないようにしたり、
笑うことでこころの平衡を保っているのではないか
私は勝手にそう分析しています。



そういう持論を説明したのだけれど、
心理のことをほとんど知らない人に対して
それをお伝えするのは、なんだか説明的すぎて、
むしろ慰めているつもりが逆効果になったのではないかと思いました。



---------------------------------



霊安室に移され、Nさんは解剖へ向かいます。
2~3時間後、ご遺体が戻ってきました。



Nさんの顔は、人工呼吸器などを留めるためのテープのせいで
血がにじんでかさぶたになっていました。
せっかくお肌も白くてきれいなのに
その傷があまりに痛ましくて
最期にこんな傷を遺してまで延命する理由は何なのかと
現代医療に疑問を投げかけたくなりました。



結婚式の予定時間が近づき、
5~6人のご友人が来られました。
中には病気であることすら知らなかったという方もいて
きっと優しい方だから、
お友達に心配かけないようにって
気を遣ってたんだと思います。



---------------------------------



そして、結婚式をすることになりました。
ちゃんと、きれいな指輪もご用意されています。
もう冷たくなったNさんの指に指輪をはめました。
そして周りが、愛してるって言ったらどうですか
って促したんですが、旦那さんはシャイなので
最初はモニョってました。
しかし、あるご友人が
「うちの主人もシャイだからそういうの言ってくれないし
 結婚式もしてくれなかったけど、
 でも、それが一番言ってほしい言葉なんです」
って涙ながらにうったえて、
それならば、ということで
「また今度、運よく巡り合えたら、
 ちゃんと愛してると言います」
と言って下さいました。




心なしか、亡くなった直後よりも
Nさんはほほ笑んでいるようでした。
きっと人生で、これほどまでに美しく
静かで厳かで温かい結婚式には
もう立ち会えないなと感じました。
ご結婚、本当におめでとうございます。



---------------------------------



どうやらNさん、絵がうまいなあと思っていたら
ちょろっと漫画家さんやってたり
アニメ制作の仕事もしていたそうです。
そして筋金入りの腐女子だったことも判明。
「私にやおいを教えてくれたのはさっぴぃ(Nさん)でした」
と何回聞いたことか(笑)
きっともっと話が合っただろうなぁ…
いっぱいお話ししたかった。
まだまだ私は行けませんが、天国で待っていて下さい。
そのときはいっぱい腐女子トークしましょう。



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【2011/04/01 22:35】 | 雑談:生と死
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オースター
様々な医療機器を使用して、患者を”延命”することは問題視されています。
 
日本では、あらゆる手を使って患者を”助けよう”という姿勢を見せなければ、訴訟を起こす輩がいるため、医師も判断できかねるのです。
 
また、病院によっては、診療報酬が稼げることから無理やり延命治療を行う施設もあります。
 
私は、現代医療を駆使して、延命することが本当に良いことなのか、疑問には思います。
本当にそれが生きているのか、っと。
 
そこを変えられるようになりたいですね。
文章が乱雑になりました。申し訳ありません。

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この記事へのコメント
様々な医療機器を使用して、患者を”延命”することは問題視されています。
 
日本では、あらゆる手を使って患者を”助けよう”という姿勢を見せなければ、訴訟を起こす輩がいるため、医師も判断できかねるのです。
 
また、病院によっては、診療報酬が稼げることから無理やり延命治療を行う施設もあります。
 
私は、現代医療を駆使して、延命することが本当に良いことなのか、疑問には思います。
本当にそれが生きているのか、っと。
 
そこを変えられるようになりたいですね。
文章が乱雑になりました。申し訳ありません。
2011/04/12(Tue) 01:14 | URL  | オースター #-[ 編集]
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